2019年のハードウェアエンコードの常識と2020年の展望
2019年のハードウェアエンコードの常識
昨年、2019年のハードウェアエンコードの常識がこちら。いずれも当時最新のデバイスに搭載されているエンコーダーを用いるものとする。
2019年動画圧縮規格別最適エンコーダー一覧
H.264/AVC | Intel QSV |
H.265/HEVC | NVIDIA NVENC |
VP9 | (QSVのみだが、 Windowsでは不可) |
AV1 | (ハードウェアなし) |
エンコード前後の画質差の指標を表すSSIM値やエンコード速度を総合的に判断した結果(らしい)。
- H.264/AVCは数年前から不動のQSV。
- H.265/HEVCに関してはミドルレンジクラスのGPUでもBフレーム対応となったNVENCが一層優位となった。
- VP9と新参のAV1は対応ハードウェアなし。
H.264/AVCはQSVと書いたが、ゲーム配信や録画に関しては、多くのソフトでは、対象のゲームをレンダリングしているGPUと同GPU内のエンコーダーを利用する仕組みとなっているだろうから、QSVを使いたくても使えないという場合は多い。それでも速度だけはNVENCやVCEの方が速いので、これらが使われるまったくメリットが無いわけではない。
2020年の展望
- Gen 11 GPU(QSVバージョン7)内蔵のCPU(Comet LakeではなくIce Lakeの方の第10世代。Ice Lakeは10 nm)のデスクトップ向けCPUの出荷が開始される見込みは薄い。このGPUを内蔵しているモバイル向けのCPUのベンチマークを見るとエンコード速度は速くなっているが、画質は分からない。
- Gen 12 GPU(Intel Xe)(QSVバージョン8)内蔵のCPU(Rocket LakeではなくTiger Lakeの方の第11世代。Tiger Lakeは10 nm)のデスクトップ向けCPUの出荷が開始される見込みは同じく薄い。
- Intel大丈夫だろうか……
- 上記、すなわちIntel Xeの完全なコンシューマー化は年内にはあり得ないが、今後IntelのGPU全体の底上げに影響し、ハードウェアエンコードが改善される可能性はある。
- なお、Rocket Lake(14 nmの第11世代)にはGen 11 GPU(QSVバージョン7)が内蔵される予定らしい(ソース)。
- つまり、GPUだけで見ると……。ややこしい。
- Comet Lake(第10世代、14 nm)=Gen 9 GPU(QSVバージョン6)
- Ice Lake(第10世代、10 nm)=Rocket Lake(第11世代、14 nm)=Gen 11 GPU(QSVバージョン7)
- Tiger Lake(第11世代、10 nm)=Gen 12 GPU(Intel Xe)(QSVバージョン8)
- つまり、GPUだけで見ると……。ややこしい。
- NVIDIAとAMDに関しては、大幅な改善や革新は無いと思われる。
- CPUでもGPUでもイケイケのAMDだが、片やVCEといい古井戸(Fluid Motion)といい、動画系には需要なしとの判断なのだろうか。
- VP9のハードウェアエンコードに関しては、各社特に態度に変化は無いと思われる。
- AV1に関しては、2019年にIntelが主体となってソフトウェアエンコーダーをオープンソースで開発しているため、来年以降に何らかのアクションがある可能性は捨てきれない。
結論としては、2020年はハードウェアエンコード界に大きな変革はなさそうだ。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません